Friday, April 10, 2020

新型コロナウィルス、肺胞での防御機構を考える

前回、粘液の性質を変えるアイデアを考えていた際には、肺胞には粘膜がないということが考慮できていなかった。(喀痰が肺胞にもあることを考えると問題ないのかもしれないが)
予防の観点で極力穴がないようにしておきたいため、今回は肺胞において新型コロナウィルスに対抗するための方法がないかを検討したいと思う。

そう考えて、肺胞の構造をインターネットで調べていたのだが、肺胞には既に薬で性質の付与を行わなくとも、新型コロナウィルスのエンベロープを破壊する可能性のある分泌物が分泌されていることが分かった。
それは、「肺サーファクタント」というもので、肺胞の内面全体に薄く広がっているものと推定(今のところ私の想像なので、要確認)される。「肺サーファクタント」の成分のほとんどは界面活性剤で、その役割はWikipediaには「表面張力によって肺胞内から空気が虚脱するのを防ぐために、肺を持った動物は、界面活性剤が持つ性質の1つである表面張力を緩和する作用を利用すべく、肺胞内に肺サーファクタントを分泌している」とある。
「肺サーファクタント」の成分のほとんどが界面活性剤なら、肺胞の内側からウィルスが感染しようとした場合、その過程で「肺サーファクタント」を通過しようとした際に、界面活性剤の効果によりエンベロープが破壊され、ウィルスは不活化されるのではないだろうか?
もしくは「肺サーファクタント」が細胞に対して吸着する(私が確認したソース)のと同じように新型コロナウィルスのエンベロープに吸着し、肺胞上皮細胞に対する感染力を失わせているのではないだろうか?(この場合は、「肺サーファクタント」と吸着された新型コロナウィルスが肺胞マクロファージに貪食された場合、新型コロナウィルスが不活化されるのか、逆に肺胞マクロファージが感染されてしまうのか、もしくは肺胞上皮細胞に吸着した「肺サーファクタント」と反発してマクロファージに貪食されず、呼気と共に外に放出されてしまうのか、あるいはそれ以外のことが起こるのかについて確認が必要)
つまり、前々回お話させて頂いた「獲得免疫ができるまでウィルスを食い止める堤防の役目」を、この「肺サーファクタント」が行っていることになるだろうか。(もし不活化までしているとなると、獲得免疫ができるのを待つまでもなく、肺胞からはウィルスがいなくなってしまうかもしれない)

①「肺サーファクタント」は、肺胞の内側全体を覆っているのか(覆っていない部分があるのか)
②「肺サーファクタント」に、新型コロナウィルスのエンベロープを破壊する力はあるのか、もしくは「肺サーファクタント」が細胞に対して吸着する(私が確認したソース)のと同じように新型コロナウィルスのエンベロープに吸着し、肺胞上皮細胞に対する感染力を失わせることができるのか
③「肺サーファクタント」の分泌量は、加齢により低下するのか
上記3点は、専門家に確認しないことには、正しい情報を得ることができないため、まずは何としても確認してみようと思う。
もし、上記がいずれも想定通りなら、「肺サーファクタント」の分泌を促すことで、新型コロナウィルスの肺胞内部からの感染の可能性を、少しでも下げられるかもしれない。(※「肺サーファクタント」は分泌過剰でも問題を起こす可能性(私が確認したソース)があるようなので、必ず医師や薬剤師の管理を受けること)
【2020/04/25追記】「肺サーファクタント」の分泌を促すことが感染の可能性を減らすことにつながらないことについて、末尾に追記したのでご確認頂きたい。
ただし、新型コロナウィルスが、肺胞内部からではなく、例えば血流に乗って肺胞に感染しようとした場合などには、「肺サーファクタント」は役に立たない可能性が高いと思われるため、過信は禁物である。あくまで、可能性のひとつを極力小さくするというイメージになるだろうか。
【2020/04/26追記】
以下のリンクでは、血中の好中球が活性化されることで、肺サーファクタントが不活化されるケースが記載されている。
http://rods777.ddo.jp/~s002/tisiki/surafactant/mechanism1.html


もし、「肺サーファクタント」が年齢により分泌量が減少していくのなら、新型コロナウィルスの致死率が年齢が高くなると高くなるという傾向に、少なからず関与しているのかもしれない。

上記①②③については、専門家から情報が得られ次第ここに追記する予定なので、期待しないで待っていて頂きたい。(今のところ専門家は皆様冗談抜きでお忙しいようで、私ごときの戯言にお付き合いいただくのはなかなかに難しく)
このブログを読まれた方で、もし呼吸器の専門家に確認する機会に恵まれた方がおられたら、是非この件を確認して結果をコメント頂きたい。

【2020/04/21追記】
①について、以下リンクのドキュメント(かなり古い)により、肺胞の内側全体を覆っているようだということが確認できた。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrs1963/10/11/10_11_581/_pdf/-char/ja
この資料では肺サーファクタントが末梢気道でも分泌されている可能性にも言及されており、肺サーファクタントの分泌を促すことで、限定的ではあるが前回の薬の開発で行おうとしていたことが実現できる可能性が出てきた。院内感染などの対策のひとつとして利用できると良いのだが、こちらもやはり専門家に確認しないことには、最悪の場合逆効果となる可能性もあるため、素人判断は危険である。
肺サーファクタントがエンベロープに吸着するケースを追加。
確認すべき内容に③を追加。
肺サーファクタントの過剰分泌の問題について記載。

【2020/04/22追記】
以下のリンクで、肺サーファクタントの成分がインフルエンザA(H1N1)pdm09に高い親和性で結合し、組織培養において感染細胞から非感染細胞へのウイルスの拡散を阻害することが示されている。また、マウスに1000プラーク形成単位(pfu)の典型的な致死量の(H1N1)pdm09を投与した場合の結果には驚かされる。
臨床で確認されたデータではないので、必ずしも人の体で同じことが起こっているとは言えないとは思うが、インフルエンザAウィルスもエンベロープを持つウィルスであり、インフルエンザAウィルスと新型コロナウィルスのエンベロープの由来(例えば細胞膜由来など)が同じであれば、同様の現象が起こる可能性を多少は考慮しても良いものなのだろうか?
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/31882535

【2020/04/25追記】
幸いなことに、専門家(岩手県)の方の意見を伺うことができた。
肺サーファクタントは、通常の状態であればウィルスに対するバリアの役割を果たしている可能性(エビデンスがないので、あくまで仮説であることに注意して頂きたい)はあるが、気道上皮細胞などで感染が起こり、炎症が起こると、血清成分の染み出しが起こり、それが肺胞に流れ込んだ場合、肺サーファクタントの(表面張力に対する)機能を破壊するため、少なくともそのケースでは同じように肺サーファクタントはバリアの機能も果たせないであろうと。(つまり肺サーファクタントの分泌促進には、この件に対して意味がない可能性が高い)
このような時期にもかかわらず、ご対応いただいたことに感謝を申し上げたい。
今回のケースでは、私は血清成分の染み出しにより肺サーファクタントの機能が(アルブミンなどと結合することにより)破壊されるという情報を得ていたにも関わらず、それが気道から流れ込むパターンをイメージできていなかった。

以下は、私の考察であるため、少し強引な仮説になるがご容赦頂きたい。
肺サーファクタントがバリアの機能を果たしている前提では、そのままの機能を維持するには、炎症による血清成分を肺胞に流入させないことが重要でありそうである。
例えば前回考えた薬でも、それが可能であるように思われる。
ただし、以下の考慮は必要となるだろう。
・その薬そのものが炎症を引き起こさないこと(つまり細胞膜にダメージを与えることは許容されない可能性が高い)
・エンベロープを破壊されたウィルスが炎症を引き起こさないこと(感染前にエンベロープを破壊できる場合は、ウィルスの量が少ないため、例え炎症を起こすとしても、こちらの条件は無視できる可能性はあるかと思う)
肺サーファクタントの分泌云々は、少なくともこれが達成できている状態でないと考える意味がないようである。

また、今回情報が補完されたことにより、1パターンに過ぎないが、無症候感染から肺胞上皮細胞への感染まで、仮説に連続性を持たせることができたので、それに対してどういったアプローチが可能かを検討しようと思う。

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